発熱について

「熱がある」とは?

外来での患者さんの訴えの中で、一番多いのは発熱です。
「普段36℃以下なのに、37℃もあります。えらくてかなわないんんですよね」 との訴えがかなりあります。いったい熱があるとはどういうレベルをいうのか、 どの程度なら解熱剤が必要なのか、少しお話してみたいと思います。

まず熱があるというのは医学的には、通常37℃以上を指します。
外国では37.5℃以上です。これは計り方が違うためです。わきの下で計るのは 日本、ロシア、東欧くらいで、他の国では口の中、あるいはお尻の中に体温計を入れて計ります。有無を言わさず、お尻に体温計を入れられるのにはちょっと抵抗を感じると思いますが、わきの下だと、室温や汗の影響が出てしまいます。
体温は一日の間でも早朝が低く、午後に高くなります。

女性の場合は月経の周期で生理後2週間は比較的低く、 排卵を境に後半の2週間はやや高い目になります。早朝ベットの中で計って、 毎日記録したものが基礎体温表といわれるものです。

心配のいる熱といらない熱

さて病気の時の発熱とそうでない(心配のいらない発熱)はどう違うのでしょう?

熱は身体の中で炎症の起こっている時の症状ですが、普通はそれ以外の症状(食欲がない、 疲れやすい、頭が痛い、のどが痛い、腰がだるいなど)を伴います。ですから37℃前後の熱があっても他に何の症状もなければ、あまり気にせず、一日に何度も熱を測る必要も無いでしょう。

 

解熱剤について

さて最近問題になっているのが、いわゆる熱さまし(解熱剤)を使うか否かです。
外来で一番困るのは「一発で熱の下がるヤツを打ってくれと」おっしゃる患者さんです。 熱は下がったけれど、そのまま冷たくなってもらっても困ります。この世に100%安全な 解熱剤など存在しないからです。

まず原因を突き止めて、原因を断ち切る治療が第一ですが、昨今のご時世では「2~3日休むのが一番ですよ」とも言えないのが現実です。「休めるくらいなら、医者にわざわざ来るか」 とお叱りを受けてしまいます。

そこで解熱剤の不必要な熱と必要な熱があることを知っていただきたいと思います。 まず身体は熱を出すことによって戦っているのだということを解ってください。

免疫力は高体温で高まります。 熱さましは通常成人では日常生活にどうしても支障をきたして、患者さんが困る場合に便宜的に使うものに過ぎません。乱用すると治療が効いているかどうかの判断ができなくなるのと、 発汗と寒気、ふるえを繰り返して、逆に体力を消耗することを覚えておいて頂きたいのです。
解熱剤の必要な熱は成人の場合は心臓や肺が悪い方、妊婦さんなどですが、妊婦さんでは 妊娠週数により使える薬などに制限があるので要注意です。

最後にもう一度・・・

解熱剤は日常生活に支障をきたし、苦痛を感じる場合のみ、必要最小限 の使用に留めるのが原則です!!