肥満はなぜいけないの?
肥満とは?
単に体重が多いだけの状態ではなく、脂肪組織の異常に増加した状態を言います。
(注:水分の過剰によるいわゆるむくみではありません。)
通常、標準体重との相対比較で肥満か否か判定されます。最近、肥満が注目されてきているのは、この状態がさまざまな『生活習慣病』と深く関係していることが解ってきたためです。
なぜ肥満になるの?
エネルギーの摂取と消費のバランス崩れで、エネルギーの過剰摂取が体内で脂肪に合成され、蓄積されていきます。
しかし、同じ生活をしていても太る人と太らない人がいるのも事実です。これは遺伝子異常が原因していて、普通 に生活していてもエネルギーが消費されずに蓄積される人で、日本人の肥満の10-20%はこれに当たります。
それ以外はやはりエネルギーの過剰摂取が主な原因です。食事については随分気にする人が多くなってきましたが、エネルギー源は1日3食の食事ばかりでなく、口に入れるものすべてであることを忘れずにいてください。間食やアルコールは肥満の素です。
標準体重とは?
体重には正常体重というのはなく、標準体重に対する比較で表されます。
標準体重というのは従来、身長、体重から算出されてきましたが、体格、体重は人種、民族、年齢、性別 でことなり、地域、社会、環境、時代によっても さまざまです。その中で疫学的に最も死亡率や病気になる率の低い体重が適切だと考えられます。
日本肥満学会では多数の検査結果から、各種の疾病の合併率が最も少ないのは『(身長m)×(身長m)×22』であることが明らかとなり、これに基づいて標準体重を算出する方法がとられています。
これら以外に、皮下脂肪の厚さや脂肪組織量 の測定も可能ですが、残念ながらこれらを正確に測定する方法はありません。
標準体重:(身長m)×(身長m)×22
肥満度%:(実測体重kg-標準体重kg)÷標準体重kg×100
例えば・・・
身長160m、体重60kgのAさんの場合
標準体重:1.6×1.6×22=56.32kg
肥満度:{(60-56.32)÷56.32}×100 ≒6.5%
一度皆さんもご自分の『肥満度』を計算してみてください。
肥満はなぜいけないの?
肥満の人は明らかに死亡率が高く、また色々な病気の合併も多くなっています。肥満で少ないのは結核と自殺だけといわれていますが、その結核さえも最近は糖尿病の人に発症が多く見られます。合併する病気のリスクについて、肥満の人は肥満でない人に比べて、
◆糖尿病:5倍 | ◆高血圧:3.5倍 |
◆胆石症:3倍 | ◆痛風:2.5倍 |
◆心臓病:2倍 | ◆脳卒中:2倍 |
その他にも睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、ヘルニアなど物理的に肥満が発症の原因になるものもあります。
また他の病気や事故などで手術が必要な場合などでも肺栓症や縫合不全などの危険性も高くなります。肥満はこのように病気との関連ばかりでなく動作が鈍くなったり、特に小児の肥満については精神的負担が大きくなるなど問題が多いのです。