鳥インフルエンザの現状
中国やタイなど東南アジアにおいて話題になり、2003年に山口県阿東町で79年ぶりに国内で発見された高病原性鳥インフルエンザは、中国やベトナムで死者が確認されており、発生箇所は18カ所で、世界保健機関(WHO)は3日現在、死者の合計は13人としている(2004年2月現在)。
このウイルスという生物は繁殖がとても速く、1個のウイルスが増殖して24時間で100万個にもなってしまう。そしてウイルスが正常な細胞に入り込み、細胞を壊して増殖してゆくため、宿主は病気になってしまう。
症状はウイルスの形によってさまざまでオランダの例(H7型)では結膜炎、一部の感染者では呼吸器の症状も見られている。香港の例(H5型)では発熱、咳などのヒトの一般 的なインフルエンザと同様のものから、多臓器不全に至る重症なものまで様々な症状が見られる。
2003年に発生したウイルスの形は、H5N1型で、病原性が強く、生物には免疫力が無く、感染しやすいので非常に恐れられている。 鳥インフルエンザウイルスは、通常鳥とブタ以外の種に感染しない。最初に記録された鳥インフルエンザウイルスによるヒトの感染は1997年に香港で生じたが、その時、H5N1株が18人のヒトに重症呼吸器疾患を引き起こし、6人が死亡した。
このウイルスは宿主の中でどんどん変化して行き、
次第に人に感染する事のできる形に変わってゆくかもしれないので安心できない。
現時点では、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由に発生国への渡航の自粛、中止などの必要はない。また、国内の旅行、移動も同様に、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由にその土地への旅行や移動の自粛、中止などの必要はない。
2003年の流行に関しては、中国広東省の研究者が2年前に作成した報告書で、感染が中国各地に広がっていることを既に指摘していたと報じた。中国は SARSの時にも発表が遅れて対策に遅れを生じたが、鳥インフルエンザについてももっと早くに公表されていれば対応ができたと恨まれる。